農業共済新聞記事バックナンバー
「昔懐かしい石油発動機」
【亘理町】「石油発動機のエンジン音は、幼い頃に体験した農作業の風景を思い出させてくれる」と話す、亘理町逢隈牛袋の三品均(みしなひとし)さん(71)は、石油発動機に魅せられ、2013(平成25)年に、仲間と仙南発動機会(斎和夫会長・70)を発足。自慢の機械を披露しながら、若い世代への素晴らしさを伝える。
三品さんは妻・つねこさん(70)と、成乳牛14頭の飼養する他、水稲1.5ヘクタールを栽培している。2012(平成24)年に農機具を探しに立ち寄った販売店で、石油発動機を見つけ、その姿に魅かれて購入。「エンジン音と油のにおいが昔懐かしい」と話す。
石油発動機は、大正初期に農業用として輸入されたのが始まり。人力や牛馬に頼っていた脱穀、もみすりの動力源を機械化することで、農業の労働改善に貢献した。
50(昭和25)年頃の全盛期には、大手鉄鋼場などが450種類以上の商品を製造したとされる。
45(昭和20)年代の水冷式石油発電機10台を所有する三品さん。燃料はガソリンと灯油で、手動ハンドルを回すと高回転で吹け上がり、マフラーから排気しながら一気に始動する。
毎分600回転ほどでゆっくり稼動させて楽しむ。所有の発動機は、メーカー毎に個性があるのも醍醐味の一つだ。
三品さんら5人で構成する仙南発動機会は、県内外の発動機運転会に参加。角田市高倉で開催したイベントでは実際にエンジンをかけて、発動機を見たことがない人に、運転方法や構造をレクチャーして、歴史や楽しみ方を伝える。三品さんは「知っている人が減るなかで、石油発動機おもしろさ若い世代に伝えていきたい」と話す。