農業共済新聞記事バックナンバー
「捕獲イノシシ 微生物で発行処理」 村田町
【村田町】イノシシによる農作物被害の増加を受け、村田町は昨年、捕獲後のイノシシを微生物によって分解処理する減容化施設を導入。捕獲後の手間を解消し、「イノシシの駆除に専念できる環境を整え、有害鳥獣被害を減らしていきたい」と同町農林課の半沢剛(つよし)主査は話す。
村田町は2011年以降のイノシシによる農作物被害の増加を受け、16年に有害鳥獣対策実施隊を発足。18年には383頭のイノシシを捕獲し、年間を通して有害駆除にあたっている。
これまで、捕獲後のイノシシは埋設を行ってきたが、重機が入れない場所が多く、ほとんどは手作業で掘削。浅く埋めると他の動物に掘り返されてしまい、悪臭が広がる恐れがあるので、深く埋設する必要があった。
同町有害鳥獣対策実施隊員で農家の佐山芳照(さやまよしてる)さん(71)は、「農作物被害を減らすためイノシシ駆除は不可欠だが、捕獲したイノシシを埋める穴掘りはかなりの重労働だった」と話す。
減容化処理は、イノシシを処理槽にそのまま投入し、回転させながら水を含んだおがくずと混ぜ合わせる。ヒーターで処理層内の温度を60度に保ち、増殖した微生物が個体を分解していく仕組みだ。おがくずだけを使って分解処理できる減容化処理施設は、全国でも2例目だという。
60㌔程のイノシシであれば、一度に8頭の処理が可能。減容化が進めば随時投入でき、約1カ月で骨まで分解される。
施設の導入から10カ月間で約11㌧のイノシシを処理した。半沢さんは、「実施隊員の労力が減らせることに加え、時間の短縮にもなる。イノシシ駆除に充てる時間を確保し、捕獲頭数を増やしていきたい」と話す。
佐山さんは「施設利用者のマナーを向上し、イノシシの処理の際など、衛生管理や整備に気を付けていきたい」と今後の利用について話す。