農業共済新聞記事バックナンバー
「きれいな棚田の景観を後世に残したい」
【栗原市】栗原市若柳・畑岡地区の蓬田(よもぎだ)棚田は、地主を中心とした構成員32人で2005年に発足した『若柳蓬田集落協定組織』で管理。中山間地域等直接支払制度を活用しながら、18・8㌶の広大な水田の保全活動を行う。県内の大学との交流活動や棚田フォトコンテストを開催し、蓬田棚田の魅力を発信する。
代表の佐藤忠一さん(71)は、「棚田で耕作する水稲の管理は、急勾配20分の1の除草作業など苦労が多い」と話す。水管理は、ため池の水を圃場伝いに低い圃場へ引水するため、稲にとって水が必要な時期に適度な降雨がないとため池の水が無くなってしまう。以前は、農道に砂利が敷かれていなかったため、田植え時期や雨の日は圃場に行くことさえ大変だったという。佐藤代表は「大雨が降れば水路から水があふれ、農道が削られてしまっていた」と振り返る。 組織の発足は、市の担当者から中山間地域等直接支払制度の利用を提案されたことがきっかけ。耕作放棄地を無くそうと保全活動に取り組み始めた。共同管理作業として、6月・9月に草刈りを行うほか、農道整備と水路の管理を年1回ずつ行う。 共同作業以外はそれぞれの圃場を耕作や管理、除草作業を行う。「法面を含めた面積が交付対象となるため、一人一人に管理する責任感が生まれた。すべての法面の草刈りなど、農道や水路の管理が行われるようになり、圃場の管理もしやすく、景観も良くなった」と佐藤代表は成果を話す。 「組織が発足してから耕作放棄地がほとんど増えていないことがうれしい。後継者を育て、きれいな棚田の景観を後世に残していくため、これからも頑張り続けたい」と意気込む。(三神利正)